【女性コラム】『個性』の考え方。
「個性を大切に」「個性を生かす」。
この類の言葉、最近よく耳にしませんか?
この「個性」について突っ込んで答えを求めると、「それぞれの良さ」とか「一人一人違うこと」とか「自分らしさ」っていうような答えが返って来ることって結構あると思う。
でも、よくよく考えたらそれらの答えって、よくわかるようなわからないような答えだな・・・って思ったりしませんか? 私はします(皆さん、しなかったらごめん!)。
あと、「個性」「個性」って言えばいいってもんじゃない・・・って思ったこと、ありませんか? 私はあります(皆さん、なかったらごめん!)。
もう10年以上前だと思う。
確かドキュメンタリー番組に、確か書道家(アーティスト)を名乗る男性(以下「Aさん」)が登場して、自身の「書」について語っていた。
その中で、「個性」についてこんな表現をされ、少なくとも私はとても腑に落ちたので、紹介したいと思います。
Aさんには、「私はこんな人になる!!絶対になるんだ!」と、心底憧れ目標とする書家がいて、その人の作品と同じような素晴らしい作品が書きたいと努力しました。
文字の配置。
文字のかすれ具合。墨の濃さ。
見た目の仕上がりを真似るだけではその憧れの人の書に近づけない。
「この人は、このかすれ具合をどんな力加減で?」
「この書を、どんな想いで?」
「どんな息遣いで?」
さらに、何かしら想いがあったとしたら、その想いの背景には何があったんだろう?
きっとこんな想いだったのではないか。
きっとこんな熱量だったのではないか。
その人を分かろうと思った。
その人そのものになろうと思った。
だけど、その想いが強くなればなるほど、その人にはなれない自分がいる。
どんなに想像しても、それは想像の域を超えることはなく、
どんなに心を重ねようとして、重ねられたとして、自分はやっぱりその人にはなれない。
その、どんなに憧れて、どんなに自分をその人に寄せようとしても、むしろ寄せようとすればするほど強くなる「この人にはなれない」という想いと事実。
それが「個性」だと。
「どうしようもなく、自分は自分である」
それが「個性」だと、Aさんは語った。
私は元々「誰かと同じ」が好きじゃなかった。
「人とは違う」「個性的」は結構な誉め言葉で、「突出した何か」を褒められる、その優越感に浸った。
だけど、このAさんの言葉を思い出し、今感じること。
それは、「個性」とは、周囲と比べての特別感や、突出した何かを表す言葉ではないんじゃないか?ということ。
個性とは、「どうしようもなく自分である」ということ。
その「どうしようもなく自分である」ことは、事象(ただただそうであるという事実)であって、感情ではないという事実。
’諦め’や’期待’、あるいは、’大切にする・しない’というのは、その事象に対してくっつけたそれぞれの感情。
だとしたら、「個性を大切にしよう」という言い方は、実はとっても押し付けがましい行為だという事実。笑
というわけで、私は「個性を大切にしろ」とかは、人に言わないことにしました。
なぜなら、個性とは、「どうしようもなく自分である」というそれだけのことで、その「個性」をどう扱うか(「個性」に対してどういう感情を持つか)はその人の自由だから。
ちなみに私は、この、今現在の「どうしようもなく自分」である自分が、決して嫌いではありません。
私は、大きく憧れる人物自体がいないのだけど、仮にそういう存在がいたとして、どう頑張ってもその人にはなれないという事実を、この書家の言葉に出会って知ってしまったから。
だったら、この「どうしようもなく自分」である自分を存分に楽しむ、それは「大切にする」とはまたちょっと違う意味合い。
大切にする・しないを選ばなくていいと思う。
「自分は、どうしようもなく自分なんだ」という事実、それだけで十分なんじゃないかと思う。
■上野宏子音声配信
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-プロフィール
上野宏子
山口県在住。
防府総合療術院院長として施術現場に立つ傍ら、婦人科スポーツ医学×NLP心理学のスキルを融合させた活動を展開。専門は「生理」。
高尾美穂氏より6年間婦人科スポーツ医学を学び、「生理への正しい理解ひとつで女性の人生は本気で変わる」と確信、生理に早くからフォーカスしたレアな存在。 音声配信アプリstand.fmを使った番組『Mission!ゴキゲン女子を増やせ!!』(旧・男女それぞれの生理への理解)では、クスっと笑えるネタを元に週2回声を届ける。番組内での不定期特別企画、『上野が本気を出すLIVE!!』では、ネガティブに捉えがちな生理・更年期や婦人科疾患、あるいは巷にある曖昧情報について、‘10000人の女子が聴いたら10000人全員に通用する’切り口から解説回答することで注目される。
過去の人気配信は、『からだの歪みは卵巣の働きに影響するのか?』 『温活で婦人科疾患は治るのか?』
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