【女性コラム】結局、人生は想い出づくりなのか。

1カ月ほど前から、平日3日夕方から4時間、スーパーのレジのしごとをしている。

「本業」とも呼べるしごとからの「収入の柱」がある上で、自分がやりたいことをやれる時間を生み出すことができる今、やりたいと思ったことはやればいいという考えのもと。

私は、一応スポーツ系の専門学校を卒業したけれど、別に体育関係の進路に進みたかったわけじゃない。

10歳からバレーボールをはじめ、なんとなくバレーが続けたかったから、バレーが続けられる環境なら何でもよかったと思う。

たまたまたオープンキャンパスで見学に行った学校で、バレー部の顧問の先生に声を掛けられ、それだけの理由で受験を決め、入学した、それがたまたまスポーツ系の専門学校だっただけだ。

正直、2年間をかけて授業で何を習ったのか、まったく記憶にない。

そのくらい、進路なんてどうでもよかった。

そんな調子だったので、就職もどうでもよかった。

当時交際していた相手が山口県の人で、その人の元へ行きたかったから、その地元のスーパーを就職先として選んだ。

会社の規模、福利厚生、その他就職や社会人になることにあたっての条件は考えたことがなかった。

元々、私の両親をはじめ親戚もほとんどが自営業者だったため、どこかに就職して会社に守られながら働くという環境もそれに関する情報も、私の視野にはなかった。

今思えば、「就職活動」と言えば、みんなやりたい仕事で選んだり、福利厚生などの保障部分で選んだりしていたのかもしれない。

たまたま何となく選んだのが、県下のスーパーマーケット業界では一番大きな会社だっただけ。

「本社が交際相手の地元に近かった」、選んだ理由はそれだけだった。

卒業前に婚約、引っ越しして就職、7月には入籍し、同時に退職した。

新卒採用で入社し、4月1日から7月15日までは研修採用だったと思う。

その研修期間が終わっていよいよ各店舗に配属になると同時に、私は退職願いを出し、実際に退職した。

話をしようとしてくれる上司ともろくに話をせず、「3か月で退職するならなぜ就職したの?」と先輩社員から言われながら退職した。

制服も、店長がいない日を意図的に選んで返しに行った。

今思えば、失礼極まりない話だ。 3か月の研修期間を投資した社員がやめる。会社としては「何のための投資だったんだ」という話。

でも、その3か月で私は店舗に立ち、いろんな売り場やバックヤードを経験した。 その中で一番楽しかったのがレジ業務だった。

レジに入れば一人仕事。ほんの1分前後のお客様との関わりが、私はとても好きだった。

結婚と同時に退職した私は、その後息子と娘を出産した。

下の子の保育園の預け入れと同時に、嫁ぎ先からすぐのところにあったスーパーで働くことにした。

新卒で就職した会社の系列の小さなスーパーだったけど、過去に同機種のレジ機を操作した経験があったことで採用された。

そこは小さなスーパーだったので、数台あるレジの内の1台は、サービスカウンター業務を兼ねていた。

例えば、進物ののし書きや包装、会員カードの発行など。

書道の経験があり、元々器用な私は包装も得意で、とても楽しかった。 でも、この時も確か、短い期間でやめてしまった記憶がある。理由は、父の事業を手伝うためだった。

それから子育てを終える間に、私は父がやっていた事業を2代目として継いで、個人事業主になっていた。

父からの後継の仕事は、やりたかったわけでは決してない。実際、父の手伝いを始めて10年間は、「絶対に継がない。父がやめるときがここが終わるとき」と言っていた。

この仕事を継ぐ決意をした理由は、あまりにわがまま間勝手で親不孝な自分がもし親孝行できるとしたら、この仕事を継いで立派に継続させることしか方法がないと思ったからだ。 そんな中で、こどもたちの手が離れ、自分以外の誰かを養う必要もなくなったとき、「やらなければならない」でなく、「やりたい」のランキング1位がレジ業務だった。

今は父から継いだ事業があるけれど、人生もう一度チャンスがあればレジをやりたい、あの楽しさをもう一度味わいたいと思っていた。 そんな折、コロナによって例外なく私のしごとも打撃を受け、その恩恵として、時間に余裕ができ、一体私は何を大切に生きたいのかを考える時間を手に入れた。

実際に時間の使い方や仕事に対する捉え方を変えることができた私は、結果的に自由な時間が増えた。

「人生もう一度チャンスがあれば」。
そんな私に、本当にチャンスがやってきた。 今の住まいから徒歩圏内に、私が新卒、そして子供たちが保育園に行き始めたことをきっかけに勤めたスーパーと同系列の店舗が、建物を崩しての大規模リニューアルをすることになった。私はすぐに求人を探した。

あった。

レジ業務、「週2~3回・短時間からOK」とあった。

私は悩んだ。

父から継いだ事業がありながら、「本業」「収入の柱」と言えるしごとがある私がレジをやったとしたら。

「あそこ、事業が成り立ってないみたいよ。」

「そんな時間があるなら、もっとたくさん営業すればいいのに。」

「本業を差し置いてなにやってるの?」


そんな声が聞こえてきそうだった。 でも、先に書いたように、父から継いだ事業は、「やりたい」から始まったことではなかった。 それだけじゃない、一人の収入で子供2人と事実婚のパートナーを養うためには、「やりたい」「私が稼がなければ」で20年以上やってきた私は、「やりたい」は全部後回しだった。

「やりたい」を実現して何が悪い?


別に誰かに迷惑かけるわけじゃない。 副業やダブルワークやパラレルワークと言った言葉が当たり前のこの時代に、むしろやりたいことをお金をもらいながらやれるなんて、こんなラッキーなことあるか?笑

しかも、リニューアルオープンということは、新しい店舗で、全員が同時スタートになる。 しかも、本当に失礼な退職の仕方をしたとはいえ、3度目のチャンスもまた同じ会社、こんなことあるか?きっと二度とない。

もし上記のようなことを陰であるいは面と向かっていわれたとて、だから何なんだろう? ・・・っていうことを考えたときに、私が出した結論が「ひとまず応募」だった。

そんなわけで無事に採用された私。

だけれど、実は今回のレジは「やりたい」だけでやっているのではない。

むしろそれ以外の多くのことを確かめたかった。

1.個人事業主として自分で事業を動かす立場にあるのと、雇われるの、どちらが自分にストレスなく働くことができるか?

・時給制ではたらくことを、今の自分はどう感じるか。

・「やりたい」で取り組む仕事において、ある程度の熱量を継続し続けることができるか。

・収入が一定額保証される分、時間が拘束される働き方をどう思うか

チームとして働く働き方をどう感じるか。

・自分が表に立つ仕事と裏方、どちらか向いているのか?

・短時間だけ人に関わるしごとと、パーソナルにガッツリ関わる仕事、私にはどっちが向いているか。

・実際スーパーのレジをして、誰かに何かを言われるか

・自分が今思っている「本業」や「収入の柱」は、今後一生涯「本業」「収入の柱」なのか。自分にはもっともっと合う職業や、収入の柱となってくれるものがあるのではないか。 (いわゆる、自分の可能性探し)

2 .仕事をオンライン(画面上)で展開するのと、人とリアルに関わるの、どちらが自分に合っていると思えるか?

そんなことの答えやヒントが欲しくて私はレジをやっていますが、これって結局は、人生の思い出作りかもね。


-プロフィール
上野宏子
山口県在住。
防府総合療術院院長として施術現場に立つ傍ら、婦人科スポーツ医学×NLP心理学のスキルを融合させた活動を展開。専門は「生理」。
高尾美穂氏より6年間婦人科スポーツ医学を学び、「生理への正しい理解ひとつで女性の人生は本気で変わる」と確信、生理に早くからフォーカスしたレアな存在。 音声配信アプリstand.fmを使った番組『Mission!ゴキゲン女子を増やせ!!』(旧・男女それぞれの生理への理解)では、クスっと笑えるネタを元に週2回声を届ける。番組内での不定期特別企画、『上野が本気を出すLIVE!!』では、ネガティブに捉えがちな生理・更年期や婦人科疾患、あるいは巷にある曖昧情報について、‘10000人の女子が聴いたら10000人全員に通用する’切り口から解説回答することで注目される。
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